相棒3rd 第3話 「双頭の悪魔III〜悪徳の連鎖」

 正直、実行犯が官房長官と秘書官というのは、どうなのかなあと思うところはありました。曲がりなりにも政府の要人にまで上り詰めた連中がそこまで馬鹿とは思えないし、殺人の教唆ならともかく、自分の手をわざわざ汚すようなことはしないんじゃないかなあ。
 もっとも、国のトップに近いところにいる連中よりも、片山女史の方が頭が良くて、自分の手は一切汚さずに他人を操作して、用無しになった奴はさっさと切り捨てて、なんら直接的な犯罪に手を染めることはなく、自分の利益のみを得ることが出来た。この話の中で一番の悪魔は彼女だった
、ということが描きたかったとは思うんです。官房長官も秘書官も彼女の引き立て役に過ぎなかった、という話のラインからすると、政府高官に自ら殺人に手を染めるような愚かしい行動をさせるほど、裏で彼らを上手いこと操っていることを感じさせる描写がもっとあれば、違和感を感じなくてすんだのかなあ、とは思いました。

が、

じゃあ今回の話はつまらなかったのか、といわれると、面白いんですよ。そこが【相棒】というドラマの不思議なところなのかもしれません。ただの『刑事ドラマ』とも『推理ドラマ』とも『サスペンスドラマ』とも言えない。まったく独自な存在だなあと。

メインライターの輿水さんはどこかで、
「自分が書いてるのは本格推理というより『レトリック』だから」みたいなことを発言していたと記憶しています。
いわゆるミステリの基本ラインは、『意外な犯人』とか『隠された動機』とか『トリックもしくはアリバイ崩し』のあたりにあると思うのですが、あまり【相棒】はそのあたりだけに重点を置いているわけではないですよね(少なくとも輿水さんの書くシナリオはそうだ)。どちらかというと『見せ方』に凄くこだわっている気がする。それは、実力派俳優陣の個性的な演技だったり、軽妙な会話や毒や笑いが散りばめられた、一筋縄ではいかない展開のシナリオだったり、洗練されたカメラワークだったり、絶妙なタイミングで挿入されるBGMだったりするわけだけど、それを当たり前のようにさらっとやってしまっているあたりが、粋だなあと思うわけです。

その一方で、国家にまで喧嘩を売ってしまうと、80年代ジャンプの格闘漫画がことごとく陥ってしまっていた『悪役のインフレ(敵がどんどん強くなっていってしまって、収拾がつかなくなる)』の罠に【相棒】もはまりかねないので、このままで大丈夫かなあ、とも思うのですが、4thをやる保証もないので、やりたいことはやりきっていただきたい気もするので、思いは複雑です。

はい、真面目な語りはここまで。以下、いつもの通り萌えトークということで。
ああ、それにしても今回は濃いシーンがいつも以上にてんこもりで、見てて心臓が踊りました。とても1時間の内容とは思えませんねえ(右京さん風に)。


冒頭のイタミンのアップ。相変わらずものっそい人相悪いですな。
「意地悪しないで教えてくださいよ」って右京さんに頼るイタミンが、ヘタレでイイ。まったくもう、でかいナリしてこの子はー。

事件の再現、第二弾。右京さん、薫ちゃんを相手に必要以上の熱演。
ええええええええ、なにこれーーーーー。
ちょ、ちょ、ちょっとやめてください。直視出来ないじゃないですか。顔を覆った両手の隙間から眺めてしまう羽目になるじゃないですかー。
だめー、こんないかがわしいもの、夜9時台に流しちゃだめー。これ見てるの腐女子だけじゃないからー。一般視聴者も、生活安全課の人も、イタミンまで見てるからーー。
薫ちゃんも、そこで恥じらわない。右京さんは落ち着きすぎ。

わざわざ薫ちゃんのところまで、美和子さんと鹿手袋さんのツーショット写真をもってくるイタミン。
「おまえを心配してるわけじゃないからな」ってわざわざ言っているくらいなので、きっと彼なりに薫ちゃんのことを心配しているのでしょう。面白がっているのも確かだろうけど。一人で来てるし、わざわざ右京さんに見えないように薫ちゃんを特命係の外まで引っ張り出してるし。
右京さんの「これは……窃盗でしょうか」のセリフが絶妙だ。

で、結局本格的な別れ話に。
「長すぎたのかな、俺たち」なんて言ってる場合じゃないでしょ。なんで薫ちゃんは「戻ってきてくれ」とも「行くな」とも言わないのよ。鹿手袋さんを殴りに行くより、そっちが先でしょ。カッコつけてるんじゃないわよ。こーの万年青年があっ!
女には男と違って期限があるのよ。30過ぎたらいろいろ大変なのよ。だから『負け犬の遠吠え』なんて本が、出版されたり売れたり賞もらったりドラマになったりするんじゃないのよ。美和子さんが鹿手袋さんのことをなかなか切り出せなかったのは、きっとどっかで薫ちゃんに止めて欲しかったからだよっ。本気で薫ちゃんに嫌気がさしてたら、もっと早くにおまえは見捨てられていたはずだっ。

薫ちゃんは最後で鹿手袋さんにカウンターパンチを食らっていましたが、この時美和子さんは思わず薫ちゃんに駆け寄っていたので、やっぱりヨリは戻るんじゃないかなあ、と私は踏んだのですが。ていうか、てっきりこの一発で鹿手袋さんはフェイドアウトするのだとばかり。でも予告を見る限りすぐに元通りということはなさそう。いいよ。薫ちゃんは美和子さんに対して余裕ぶっこきすぎていたことを、3rdの最終話までかけて反省するがいいさ。

薫ちゃんに「別れる事になりました」って言われて、かける言葉が見つからない右京さん……。あの右京さんがこんなに素直に薫ちゃんのことを気遣っているだなんて。なんだやっぱりカメがいなくなって淋しいんじゃないか。それにしても、薫ちゃんの「そうですか」のモノマネはさらっと流されていたけど似ていたな。

加賀谷さんのアリバイ崩しのために罠をかける右京さんと薫ちゃん。うわー、これぞ【相棒】って感じの意地悪さだわ。
二人が出ていってすぐ慌ててアリバイ工作の電話をかける加賀谷さん。

でも帰ってないーーーーー。
ぎゃはははははははははははは。

ドアのガラスに映ってる右京さん怖すぎーーーーーー。ホラー映画みたいだ。は、腹痛い。和泉監督の演出とカメラワーク絶好調すぎだよ。手え叩いて喜んじゃった。

片山女史が官房長官を切り捨てるシーンも良かったねえ。
「いいえ」
のところで、ぞくっとしちゃった。木村佳乃さんは後半にかけてどんどん毒婦っぷりが上がってきて良かったよー。
あと、ホテルのルームサービスでコーヒーを持ってきてもらった云々が、なんとなく『逆転裁判』ぽかった。その後の展開はまったく違ったけど。

おー。長くなったなあ。
あまり飛ばしすぎると疲れるので、次回からはもうちょっとレビューは控えめに書こうと思います。

<2004.11.1>




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