「傷だらけの天使レビュー」


第23話『母の胸に悲しみの眠りを』 監督:工藤栄一 脚本:田上 雄
若い女子工員・チャコが水死体で発見され、自殺と断定される。しかし、チャコは結婚を目前にしてお り、しかも身重の体だった。修と亨は母親の依頼で、死因調査を開始する。修らはかつての同僚で、恋人を横取りしたという噂があるバー勤めの女・広美を探るが、その帰途、広美と同棲中の大学生の中岡 に襲われる。
ゲスト:下條アトム、西尾三枝子、根上淳、本山可久子 他


これは一種の原点回帰と言えるのでしょうか。
しかし、本来傷天の持っていた特性が強調されすぎて、アグレッシヴを通り越して、バイオレントになってしまっているような気が。

死ななくてもいい人が無意味に死に、
修とアキラは久しぶりに傷だらけになり、
半裸で傷の手当てをしあっている主役二人の図はイケナイものを想像させ、
アキラのオカマキャラ度はさらにアップし、
修はあっさり広美の家に上がり込んでお泊まりしてます。

綾部貴子もなんだか変だなあ。
栄養失調で顔が浅黒くなっている修を見て、「修ちゃん、少し痩せた?」
少しじゃねえだろ。どう見ても。
この女、冷酷で頭が切れそうに見せかけておいて、実はどっか抜けてる?
ひょっとして、意外と人を見る目がないんじゃないのか。だって、辰巳さんが修達へのギャラをピンハネしてることにも気づいてなさそうじゃない。
あるいは、
「アタシ、ダメな男じゃないと燃えないのっ!」
という、だめんずうぉ〜か〜(by倉田真由美)だったとか。
そうか、だから9話であんな俗物と結婚しそうになってたんだ。そうか、そうだったのか。

・・・いかん、冗談のつもりで書いてたのに、本当にその通りのような気がしてきた。

一番キャラがおかしくなってたのは、辰巳さんでした。
あれは・・・・何だったんですか? 
あれになんのストーリー上の必然性が。脚本にはないでしょ。どう考えてもおかしいよあれ。何がやりたかったんだ、岸田森!(呼び捨て)。
修だってアキラにあんな直接的なことはしたことないのにっ! 
アピールか、アピールなのか?(なんのだよ)

ゲストキャラの父も母もなんだか考え方がまともじゃないし、唯一意外にもまともだった息子は死ぬし。

映像は映画的でとても印象的だったけど、いろいろなところで引っかかりを覚える話でした。

<2003.2.21>





第24話『渡辺綱に小指の思い出を』 監督:児玉 進 脚本:市川森一
修は銀竜会の胴師として賭場のイカサマを命令された。その裏には組長・小谷率いる銀竜会の信用を落とそうとする金竜会・大月と、銀竜会の幹部でありながら組を裏切ろうとする村田の計画があった。そんな時、修を訪ねて小学校の後輩加代子が上京してくる。
ゲスト:坂口良子、前田 吟、真山知子、天本英世、富田仲次郎 他


わははは、面白い。面白いぞこれは。
これまでの傷天のストーリーの中で、唯一エンターテイメントしてた気がするよ。
坂口良子、まじでかわいい。びっくりした。めんこいぞー。

今回の修の仕事は、札まき師として賭場に潜り込み、わざとイカサマをしてそれを発覚させること。
当人には内緒ですが、裏では<修は詰め腹を切らされる>ことを前提とした話し合いが行われていました。
「指一本程度でお願いします」
わはは、辰巳さんたら悪人ー、ステキー。

しかし、本当に修が小指切られちゃうとは思わなかった。
血が出ただけ、とか
サムチップ(偽物の指)を飛ばしてトンヅラこいたとか、
そういうトリッキーなネタがあることを想像してました。
いやだってさ、冒頭で修がイカサマの特訓してたじゃないですか。花札だけど、カードマジックの練習みたいなことしてたじゃないですか。そんなの見たらミステリ読みの私としては、何かの伏線だと思うじゃないですか。
まさか本当に指を切られて、大騒ぎして、医者に「今なら繋がるから指を持ってきなさい」って言われたからって、切られた当人が指を取り返しに行って、大立ち回りを演じた挙げ句に(出血多量で気絶するぞ)、無事に指はくっつきましただなんて、
そんな荒唐無稽なことを堂々とやってしまうなんて普通は思わないじゃないですか。

やっぱり市川森一の感覚って、ちょっと尋常じゃないところがあると思います。
この容赦の無さって普通じゃないわ。
いえ、面白かったし、脇役も豪華だったし、これからどうなっちゃうんだろうとドキドキしたんですけど、微妙に何かが腑に落ちない。
でも、あのオチはあれで良かったと思います。最後に彼女に会いに行ったりしたら、それこそ興ざめだものね。

サブタイトルの「小指の想い出」とはそういうことだったのか。
見る前はてっきり、坂口良子と昔<指切りげんまん>をしていて、彼女はその約束を果たしに来たとかそんなストーリーだろうと予測していたので(それほど外れてはいなかったけど)、まさかそれが<エンコを詰めた想い出>の方を指しているとは思いもしませんでした。
シュールだ。

<2003.2.22>



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