傷だらけの天使
漫画 やまだないと 脚本 西田俊也 原案 市川森一   辰巳出版
2000年7月10日 初版第1刷発行 2000年8月10日 第2刷発行



傷天のコミックス届きました。
読んじゃいました。
いやー、良かったですよ。いいですよこれ。これならドラマのファンも納得できるよ。 だって読んでてちゃんと修と亨の声が聞こえるんだもの。

ドラマの小説化とか、マンガのドラマ化とか、多媒体での再作品化には様々な形態がありますが、それが原作ファンから非難を受けてしまう理由としては、 <○○(キャラ名)はこんなこと言わないし、こんな行動はしない> という風に、あるキャラの行動原理に則さない行動をさせてしまうために生じた違和感による部分が多いと思われます。 というか、私の場合は大抵そうです。
なんでそんなことになってしまうかと言えば、それは作り手達が<仕事>としてやってるからで、もともとオリジナル作品のファンというわけでもない人たちが、オリジナルの世界観をファンが納得するくらい忠実に再現する、なんてことは不可能なのでしょう。
個人的には、それが不可能なら、多媒体での作品化なんてことはやって欲しくないですけどね。むかつくだけだから。

『傷だらけの天使』の漫画化が成功しているのは、脚本担当の西田敏也氏も、漫画担当のやまだないとさんも、『傷だらけの天使』をファンとして心底愛しているからで、そのことがこちらとしてもとても嬉しいのです。

もしこの漫画の脚本を女性が書いていたら、修と亨の間にホモ臭が漂いすぎてえらいことになっていたかもしれませんが(私が書いたら多分そうなる。書かないけど)、そこは男性。乾いた感傷と適度な理性で、上手くストーリーの手綱を繰っていて、ドラマ独特の空気感や間を正確に再現してします。
やまだないとさんの絵も、個人的には好きな絵じゃないんだけど、こういうラフな線の方が、変にきっちりとした線で綺麗に書かれるよりも、傷天には向いているのかもしれません。

どの話も良いですが、一番のお気に入りは、<野良犬に赤い雨傘を>。
亨はやっぱり修に拾われたんだね。これなら公式設定でもいいやくらいの勢いです。
「あんた、俺のこと心配してくれるの? ありがとう、ありがとう」
って修の手に縋り付く亨はいろいろなものに飢えていて、思わず手を差し伸べてしまった修もやっぱり、いろいろなものが欠けている。
二人でいても、互いの欠落感が完全に埋められるわけではないけれど、他にどうしようもないから一緒にいるしかなかった二人の出会いは、きっとこんな感じだったのでしょう。


<2003.2.12>



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